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普通教室における授業でのIT活用方法

 今回の数多くの実践の中で、「普通教室での授業の中でIT機器を使う」という事例が検証され、その いくつかの授業を見せていただきましたが、「IT機器を使う」という点が、「普通教室での授業の中で」 という条件にまだ追いついていないという場面をいくつか目にしました。

 この報告書ではそのうちの2つの事例について、「IT機器」の機能面・利用方法についての考えを まとめてみます。

1.「スクリーン」

 スクリーン自体がIT機器かという点では疑問もありますが、スクリーンの使い方が、授業に影響を 与えることから重要なポイントではあると考えます。

 スクリーンをどう設置するかによって、投影される映像の大きさ・見易さは当然ですが、黒板の板書 との連携、生徒の視線の誘導などにも大きな影響があることを見てとることができました。

以下にスクリーンの設置形態と特徴についてまとめてみました。

スクリーンの設置形態の例

スクリーン設置形態画像1

 多くの教室には、OHPで使っていた天吊り式のスクリーンが設置されていますが、高い位置にあるため、液晶プロジェクターで利用する場合、仰角が大きくなり、液晶プロジェクターに台形補正機能が必要です。また、黒板と離れた位置にあるため、板書との連携に難が出てきます。

 しかし、常設であるため簡単に利用できるという点でのメリットは大きく少々のひずみが問題にならない、単純な映像の投影という用途であれば利用しない手はありません。

スクリーン設置形態画像2

 今回のプロジェクトで利用されたのは、軽量可搬式・自立式のスクリーンです。大小さまざまな種類がありますが、教室のどこにでも置けるという点では、天吊式より便利なようですが、結果としては、教室に80インチサイズを持ち込むのはスペース的に無理があるのではないかと思えました。また、生徒が板書をノートしようとしているとき、スクリーンの提示内容に説明が移る場合もあり、視点の誘導で苦労があったように感じました。その意味では、教卓の上にスクリーンを置く小型のタイプもよいのでしょうが、逆に文字が小さくなるというデメリットもでてきます。


○ある授業では、ユニークなスクリーン(と黒板)の使い方がなされていました。

を書き込むことで理解を深めようとするものでした。市販の製品としては電子ボードの機能の一部がそれに相当するものなのですが、電子ボードがその板面の外側には何も記入できないのに対し、黒板を使う部分と広用紙(と投影された映像)を連携させることで広がりを見せていました。

下の図のような設置形態です。

スクリーン設置形態画像3

 数学の実践事例の中に、シミュレーションソフトを使ったものがありましたが、その重要なポイントになっていたのは、「黒板に貼った広用紙に映像を投影し、チョークで書き込みを加えながら授業を進める」というものでした。それを可能にする製品として、最近「黒板にマグネットで貼り付け、水性マーカーで書き込みのできるスクリーンが販売されています。
プロジェクターとの距離のとり易さ、「板書とスクリーン」の連携、「生徒の視線の誘導」という課題に解決の糸口を与えるものではないかと考えられます。
http://www.izumi-cosmo.co.jp/screen/index.html


2.「ビューア・ブラウザ」

 黒板に板書する際に、先生は自然に文字の大きさを調節しています。これは無意識に行えるまで訓練されたスキルであると思われますが、スクリーンに映された、読み取れない文字に対するフォローはあまり見られませんでした。もちろん、その場面で示したいものは図(静止画)であって、文字を読み取ることは必須ではなかったのですが、図が示され、その図の下にコメント(文字)があれば、当然、その文字を読みたくなるはずです。コンテンツが必須でない情報を含んでいても、生徒はその情報も読み取ろうとするということです。
 それが読み取れない場合、本来の目的である図が見えたとしても、(必須でない情報であるにもかかわらず)文字が見えないことにより「教材がよく見えない」というマイナスの心理が生徒の興味を削いでしまうのではないかと感じられる場面がありました。

 スクリーンやプロジェクタ(*1)の設置の仕方では解決しにくい問題なので、検討対象をビューアに譲ります。Windowsの標準環境で検討します。

*1:プロジェクターには、拡大機能を持つものがありますが、リモコン(又はコンソール)操作にはある程度の習熟が必要で、思ったような操作ができず、却って混乱してしまう場面をよく見かけます。

まず、必要なのは、「コンテンツの必要な部分だけを拡大表示させる機能」です。
公開授業では、社会科の史料の図を拡大させて一部(幟旗)を強調するという場面がありました。 これは、静止画に特化したビューアであれば標準的な機能です。
「ホームページの写真から必要な部分を拡大する操作」の例を考えてみます。

ホームページを、全画面表示にした場合、スクリーンには下図の左のような映像を映すことができます。しかし、このうち写真だけが必要な場合、写真を全画面表示するためには、

 「画像をファイルとして保存」→(ディレクトリ指定)→「静止画ビューアで開く」
   →「全画面表示」→「ズームアップ」

と手順を踏まなくてはなりません。(下図) かなり面倒な操作と言えます。

画像ズームアップ方法図

ホームページ中のテキストについても、それを拡大させる方法としては、
 ・ブラウザの表示メニューから、文字サイズを変更する
 ・Windows標準の拡大ツール「虫眼鏡」を使用する
 ・画面拡大ツールを使う
等の方法が考えられ、それぞれ試してみましたが、いずれもプロジェクター投影時の見易さを意識したものではないため、目的に沿う効果は得られませんでした。

画面拡大図

 赤い文字の部分を表示したい場合に、拡大ツールを使っても必要な部分を拡大することはできず、 矩形エリアが拡大されてしまう。
 また、ブラウザの「文字サイズ変更」では、充分な拡大が得られない場合が多い。


 次にマルチメディア素材と、ビューアについて考えてみます。
教材コンテンツに使用されるマルチメディア素材となるファイルの形式は実に多様です。代表的なものを表にまとめてみました。

ファイル形式の系統

ファイル形式

再生ソフトウェア

Windows Media Player

asf .wma .wmv .asx .wax .wvx

Windows Media Player

RealPlayer

.ra .rv .rm .ram .rpm

RealPlayer、RealOne

QuickTime

.mov .qt

QuickTime

Shockwave

.dcr .dir .dxr

Shockwave Player

Flash

.swf

Flash Player

MPEG

.mpg .mpeg .mp2

 

VRML

.wrl

Live3D, Cosmo Player


 問題となるのは、こうした全ての形式をサポートしたビューアはないということです。最近では静止画・動画を両方あつかうビューアも増えてきましたがまだ不十分です。
 また、多数の教室用PCの各種ビューアを常に維持管理することも、ビューアの使い分けを意識することも、殆どの先生にとっては、大きな負担となるはずです。

 このように、 「『IT機器を使う』という点が、 『普通教室での授業の中で』という条件に追いついて いない」という点は数あげられますが、それは、そうしたニーズがまだ明確化していないためでは ないかと考えられます。今後は、「教室が求める機能」を要点化・体系化し、「教室」に合ったブラ ウザやビューア(一体化する場合も含め)の開発を求めて行くことが必要なのではないかと考え ます。

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